研修医とは

研修とは勿論実際に医療が行われる現場に立って、医療を肌で学ぶことです。大学の医学部で学んだことを、医療現場の第一線で実践することです。先に書いたように、大学の医学部で学ぶこと、或いは医師国家試験で問われる内容は、あくまで医師になるための最低限の知識です。それを単なる医療知識で終わらせるのか、或いは実際にそれを活かすことが出来るかは別の次元の話のです。また研修に参加し、本物の医療現場を体験することは言い換えれば大学の医学部で学んだ色々な症状やケース、パターンに実際に遭遇することです。例えば内科の場合で言えば、ある種の典型的な症状を持った患者に対して実際に診察し、診断することです。外科の場合で言えば、医学部で学んだ病気や怪我の患者を実際に手術するということです。研修の場合、大学の医学部とは異なり、実際の患者、症状が研修医にとっての教材となるわけです。そしてそうしたまさに本物の病気、患者、症状をどれだけ体験したかが、研修医が学ぶ内容であり、その後一人前の医師となるうえでの財産になるわけです。皆さんも病院で実際に研修医の姿を見たことがあるかと思います。彼らは常に先輩医師に付き添っているように見えますが、一人前の医師になるために昼夜を問わず先輩医師に張り付き、実際の症状や患者を見ながら勉強し、不明な点があれば勤務時間外も教科書や文献を見て確認し、自分が学んだ内容と照らし合わせています。研修医の毎日は大変忙しく、一人前の医師になるために奮闘を続けているのです。
研修医が研修で学ぶことの内容で重要なものの一つに剖検があります。皆さんは剖検という言葉を知っていますか。研修中には多くの研修医がこの剖検を体験することになります。医学に通じていない私達には剖検といってもピンと来ないでしょうが、剖検とは死亡した患者の遺体を解剖し、その死因を検討することです。医療の世界では病気で死亡した患者の、そのはっきりした死因を特定することは非常に大切な作業です。例えば癌で患者が死亡したケースでは、その癌の広がり具合、転移の状況を知ることもできます。剖検の場合、いわば患者の遺体が教材となるわけですから、大学の医学部でそれを使って学ぶには自ずと限界があります。ですが研修医となって「本物の」医療の現場で働くということは、まさに剖検を通して学べる機会に恵まれるわけです。

また研修期間中に学ぶ内容で、重要なのは剖検だけに止まりません。研修期間中は多くの場合病歴管理も学ぶことになります。病歴管理と言うと皆さんにはわかりにくいでしょうが、私達に馴染み深い言葉で説明すれば病歴管理とはカルテです。このカルテは、患者の今までの病気や症状に関する記録が全部まとめられている、医療の現場では非常に重要な書類です。これも病気や病状を知るにはうってつけの教材とも言えます。カルテの大切さについては医療法という法律があって、その中ではカルテの5年間保存が義務付けられているほどです。一人の患者はいたとして、この患者がその後どのような経過を辿るかは、同じような症状を持つ患者のカルテを調べれば参考になります。一人の患者に対してどのような治療を施すかは、同じように同様の症状を持つ患者の記録を見て、参考にすることもできます。このようにカルテから学ぶことはたくさんあります。従って研修医が研修を行うには、カルテの保存、管理の徹底している病院がふさわしいのです。

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2014/9/26 更新